新型コロナウィルス感染症と漢方薬②
2020年1月下旬突然に襲ってきた新しい感染症は武漢から出発してまたたく間に世界中に広がりました。
年頭に今年の抱負を語っていた多くの人がそれを断念しなければならない状態になりました。
この感染症に対して漢方に携わる私達はどのように立ち向かうかを考えてみました。
1. 予防
このウイルスはPCR検査で陽性が出ても、無症状、軽傷、中等症そして重症化する人がいます。
症状が進み易い人は瘀血(血液に粘性のある)の人、痰飲(水の巡りが悪い・舌が厚く舌苔がベトベト)の人に多いと言われています。
従って予防策は
・瘀血を失くす・・駆血瘀剤・・・・折衝飲、桃核承気湯、通導散、桂枝茯苓丸
・痰飲を減らす・・去痰剤・・・・・二陳湯、六君子湯、苓桂朮甘湯
・体表の防衛力を強くする・補気剤・・玉弊風散、補中益気湯、十全大補湯、人参湯
などです。
2. 軽症の場合 (倦怠感、発熱、喉の痛み)
味覚障害、食欲不振・・・行気和胃剤・・・・香蘇散、平胃散、四君子湯
悪寒を伴う・・・・・・・辛温解表剤・・・・葛根湯、麻黄湯、麻黄附子細辛湯
喉痛、発熱を伴う・・・・清熱解毒剤・・・・黄連解毒湯、清上防風湯、銀翹散、荊芥連翹湯、荊防敗毒散
3. 中等症の場合
咳、呼吸困難、肺炎・・・辛涼解表剤・・・・・・麻杏甘石湯、小青竜湯加杏仁・石膏 柴葛解肌湯(中国では清肺排毒湯)
などいろいろな漢方薬が適応します。
これらの漢方薬は理論上考察できるもので、実例に基づいたものではありません。
従ってあくまでも自己判断で使用するのではなく、専門の知識を持つ者が患者の体質と症状に応じて証を考慮し判断する事が求められます。
薬以外に免疫力を高めるため十分な睡眠、バランスのとれた食事、適度な運動
ストレスをためないなど健康な生活も感染症にかかりにくい重要な要素といえます。