煎じ薬とエキス剤
漢方薬は生薬と云われる自然界の物質で出来ています。生薬とは植物の根、葉、果実や種など、動物の角、甲羅、体の一部分又鉱物や貝類などです。
漢方薬には様々な剤形があります。煎じ薬、粉末、顆粒、丸剤、錠剤そして軟膏などです。その剤形により効き目、飲みやすさ、使いやすさ等の違いがあります。
細粒、顆粒、錠剤などの製法はおもにエキス剤です。
漢方エキス剤の製法は一般的には生薬に水を加えて煮出して抽出し、抽出した液をろ過して濃縮し、乾燥させてエキスとします。これに数種類の賦形剤を加えて、混合して造粒し、顆粒や細粒を作ります。
錠剤はさらに賦形剤の添加そして成型、打錠して錠剤を作ります。
それに対して煎じ薬の作り方は生薬を水で煮出して抽出し、ろ過した液をそのまま服用します。賦形や成型の過程が省かれるため有効成分が損失しにくいです。そのため抽出した薬剤がストレートに体内に入るので、薬の効き目が良くなります。
煎じ薬の作り方は土瓶又はホーロー、アルミなどのヤカンや鍋に水と漢方薬を入れて沸騰させてから約四〇分煮出し、熱いうちにかすとなった残渣を取り除き温かいいうちに服用します。
空腹時に服用すると薬の吸収が良いので出来ればそれをお勧めします。利便性という意味では自動煎じ器もあります。
服用する時はその薬の内容が当人の症状にあっているかどうかが一番です。次に飲みやすいかどうかも大事なことです。煎じ薬の場合、その香りが心地よいと感じられれば効果は倍増します。また液状なので、消化吸収がよく効き目が優れています。始めは飲みにくいと感じたり、煮出すのが大変だと思う事もあるかもしれませんが、慣れてくれば毎日の習慣になり作るのが苦でなくなります。味も徐々に美味しく感じるようになっていきます。子供には小建中湯のように甘くて飲みやすい薬もあります。
エキス剤は手間がかからないため、急いでいる時でも飲みやすく、入院時や旅先、職場等でもすぐに服用できる手軽さがあります。
当薬局では煎じ薬とエキス剤の両方を取り扱っておりますので併用も可能です。