更年期障害①ホットフラッシュについて
更年期障害とは
卵巣の活動が徐々に消失し、月経が停止した状態を「閉経」といいます。
東洋医学ではよく女性は7の倍数で体が変化すると言われます。
昔の本によると7×7で49歳あたりが閉経の時期とされています。
現代の日本人女性の平均は50歳前後。
ただ個人差が大きく、早い方では40歳台前半、遅い方では50歳台後半になります。
更年期障害とは閉経前後の10年間に起こりやすい様々な身体的・精神的不調のことを言います。
症状は多岐にわたりイライラ、動悸、ホットフラッシュ、不眠、脱毛などがあります。
昔は女性特有の症状と考えられていましたが、最近では男性の更年期の相談も多くなっています。
男性の場合は精神的な症状が多く、勃起不全(ED)なども男性更年期障害の一つと考えられています。
漢方薬での更年期障害へのアプローチ
更年期障害に対して漢方薬はとても有効です。
ただ更年期の症状は多岐にわたるため「更年期障害はこの漢方薬」とはなりません。
その方の症状、体質に合わせた漢方薬になります。
体質に合っていない漢方薬を飲むと逆効果になってしまうこともあるので、専門店で相談することをおすすめします。
東洋堂でも更年期障害の相談はとても多いです。
ホルモン剤などを服用されたくないという方もご相談にいらっしゃいます。
今回はホットフラッシュについて解説します。
ホットフラッシュ
ホットフラッシュとは、のぼせ、ほてり、急に顔から汗が噴き出るなどの更年期障害の代表的な症状です。
主な原因は卵巣から出る女性ホルモンの減少によるホルモンバランスの乱れです。
中医学では陰の不足、気・血の滞りによるものと考えます。
陰虚(いんきょ)
ホットフラッシュは陰虚という体質の人に多いです。
陰とは体を冷やし、潤す性質のものです。
更年期で女性ホルモンが減ると潤いが少なくなり陰虚になりやすくなります。
のぼせ、布団から手足を出したい、寝汗、口が渇くような症状が出やすくなります。
陰は鎮静の役割もしているので、不眠や不安感などの症状もでます。
このタイプは陰虚を改善する漢方薬の服用と同時に、睡眠を十分にとり、大豆、山芋、ハチミツなど陰を補う食材をとりましょう。
気滞(きたい)
気の流れが滞ることを気滞といいます。
気滞が続くと鬱々として熱を持ちやすく、放っておくとほてりの原因になります。
気滞の人はイライラが多く、便秘やゲップなどの胃腸の不調を伴います。
生理前にイライラしたり、胸が張ったりしやすいです。
漢方薬でホットフラッシュと精神的不調の両方を緩和することができます。
ストレスを溜めないことも大事ですので軽く運動したり、おしゃべりしたりしましょう。
香りの高い野菜やハーブティーもおすすめです。
瘀血(おけつ)
血の流れが滞ることを瘀血といいます。
瘀血の人は上半身が熱く、下半身は冷えやすい、いわゆる「冷えのぼせ」です。
お風呂の湯のように上が熱く下が冷たくなる状態です。
動く機会の少ないデスクワークの方がなりやすいです。
アザができやすい、頭痛、肩こりがひどい、目の下にクマができやすいなどの症状を伴います。
女性の場合は経血に血の塊が出る人もいます。
瘀血の症状は夜間に悪化すると言われており、午後から夜間にほてりが急に強くなる場合は瘀血が関係している可能性があります。
血流を良くする漢方薬の服用と同時にストレッチなどで軽く体を動かす、半身浴などがおすすめです。
最後に
今回は更年期障害の代表的な症状のホットフラッシュのお話をしましたが症状は多岐にわたります。
検査などで問題が無くても症状がある場合漢方薬は効果的です。
気になる症状があればぜひご相談くださいね。